【PO】日本郵政(6178) ~国内プラットフォームの潜在力は圧倒的。高配当利回りを継続できる安定性が魅力

2021年10月6日取引終了後、日本郵政株式の政府による株式売り出しが正式に発表されました。

政府は現在、議決権の60.6%を保有しており、今回の売却する株式数は日本郵政の発行済み株式の約27%に相当します。

同時に、日本郵政は発行済み株式総数の3.5%、1000億円をそれぞれ上限とする自社株買いを実施すると発表しています。これは、政府の株式放出による需給悪化の影響を緩和することが目的であり、期間は売り出しの翌営業日から来年4月28日までで、取得した自社株は消却する方針となっています。

国内プラットフォームの潜在力は圧倒的

日本郵政は、海外投資では先日もオーストラリア事業で巨額の減損を出すなど全く振るいませんが、日本国内にあっては圧倒的な郵便ネットワークのプラットフォームを維持しており、成長期待はありませんが安定収益を獲得し続けています。

海外投資に懲りたのか、直近(5月14日発表)の経営計画(JPビジョン2025)では、「お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指して」と題して国内のプラットフォーム強化と、その上に構築する既存事業のブラッシュアップ、新規事業としての不動産事業強化などをうたっています。

改めて数字を確認しておくと、国内の郵便局は約2.4万 (2021年3月31日現在) 、コンビニ最大手のセブンイレブンが約2.1万(2021年9月30日現在)、公立・私立を合算した小学校が約1.9万(2021年5月1日現在)ですので、郵便局の規模は圧倒的です。

日本郵政の掲げる「共創プラットフォーム」 は、この圧倒的なリアルの郵便局と、強化していく「デジタル郵便局」を融合させ、新しい価値を提供していくことを目指しています。想像すると、いつでもどこでも使える便利なデジタル郵便局の上に様々なサービスを載せていき、その商品の受け取りや実際のサービス提供、デジタルデバイド解消のためのサポートまでをもリアル郵便局が担っていく、といった感じでしょうか。こうしたプラットフォームを運営できるのは現在では日本郵政グループのほかには考えにくいですね。

最近では、郵便局員による不当な保険販売などが問題になりましたが、これは彼らへの評価軸が金融商品販売に偏りすぎていたことも影響していると考えられるため、地域ニーズに応じた多種多様な商品・サービスが彼らの販売メニューに載ることは収益の安定化だけではなく経営の安定化にもつながる施策といえるでしょう。今後は、地域金融機関や地方行政サービスの事務受託などの収益源の重層化が本当に進展し、プラットフォームの潜在力を活かしていけるかどうかについてチェックしていく必要があるでしょう。

今後も安定配当を継続できる高配当銘柄

日本郵政は、ここ数年50円配当を続けており、会社としても50円の安定配当は継続していく方針のようです。

国内での不祥事や海外投資の失敗もありましたので、1200円→1000円の水準訂正はしょうがないところでしょう。ただ、配当利回りでみると直近(10/7終値)の921.1円で5.43%と魅力的な水準まで上昇しています。株価1200円でも4.17%、1000円で5%ですので、潜在力が評価されれば今後の上昇余地はあると思います。

とはいえ、足元ではコロナ禍でのDM減少などの影響があり、今後もデジタル化の進捗を考えれば紙の郵便物の需要が元通りになるとも思えません。また、かんぽ、ゆうちょの回復も不透明です。ただ、悪材料があるからこそ株価が下がっているので、潜在力を評価した場合の魅力度が上がっているとも言えます。

当サイトでは、現在でも収益基盤は完全には崩れていないこと、圧倒的なプラットフォームの潜在力が将来の安定収益につながることを前提に、今後も安定配当を継続できる高配当銘柄として前向きに評価したいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です