伊藤忠テクノソリューションズ(4739)

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の略称は「CTC」です。

英文社名は「ITOCHU Techno-Solutions Corporation」なので、なんで「CTC」なの?とよく聞かれます。

答えは「Challenging Tomorrow’s Changes」という同社のコピーの略です。「略称はCTC」と言われると釈然としませんが、同社が「未来の変革に挑戦」する姿勢を宣言していると捉え好意的に受け止めたいと思います。

そんなCTCは、2021年11月1日に2Q決算を発表し、以下でも触れますが好調な上期業績と受注動向、中期経営計画への取り組み状況が確認できています。

同社は「ITを通じた社会課題の解決」を柱の一つと規定しており、ビジネス上の様々な金鉱脈を探すプレイヤー(企業)にITによるソリューションを提供する業者であるといえます。その立ち位置は、リスクを負って金鉱を掘りに行くプレイヤーよりも安定した収益が見込めるといえ、業績の推移にも表れていると考えます。

2000年くらいまでは、IT投資と言えばインフラ事業者以外の一般企業にとってはコストであり、売上を増やすというよりも効率化とかコスト削減が主で、費用対効果などが問われる存在であったと思います。が、近年では通信インフラの高度化、データ単位当たりコストの低下などにより、クラウドやデータ活用が進展し、今ではDX推進は企業の生死にかかわる投資案件となっています。

配当実績を見ても、今期も増配予定であり13期連続の増配が見込まれています。業態的にも業績の安定度は高く堅実な成長が続いていますが、株価は2020年8月に4400円台の高値を付けた後調整局面となり、2021年11月9日時点での株価は3760円、今期予想ベースで配当利回りは1.9%、PER25倍程度の水準となっています。

技術革新を背景にした世界経済の成長を前提とすれば、今後も長期的な上昇トレンドは継続すると考え、当サイトではリスト銘柄に加えて注目していきたいと思います。

中期経営計画

同社は2021年4月28日、グループ全体のマテリアリティ(長期にわたり取り組む重要課題:ターゲットは10年)を特定し直し、それらを前提に3か年の期経営計画(2021~2023)を策定しています。

投資家目線で言えば、10年かけて取り組む重要課題を設定してくれているので、これが投資にあたっての長期ビューとマッチしているかをチェックできるので非常に検討しやすいですね。そして、3か年の中期計画を見てその実現可能性を、四半期決算においてその進捗状況を確認していくことになります。

10年かけて取り組む重要課題と3か年の中期計画

マテリアリティとして、ビジネスを通じた持続可能な社会の実現を念頭に、「ITを通じた社会課題の解決」、「明日を支える人材の創出」、「責任ある企業活動の実行」の3つの課題を柱として特定しています。

中期経営計画資料より

上図でも明らかなように、3つの課題といっても「ITを通じた社会課題の解決」によって収益を得るために「人材の創出」「責任ある企業活動」が必要であるといった構造になっています。

これを具体策に落とす形で中期経営計画が立てられており、DX支援や共創ビジネスの拡大を主軸とした「Accelerate」、5Gやクラウドビジネスの拡大を目指した「Expand」、人材育成と経営基盤の強化を意図した「Upgrade」の3つを基本方針としています。

同社資料では5G関連ビジネスを例示して説明されています。簡単にまとめると、5G上で実現できる新たな価値を提供しようとする企業にITサービスを提供し(Accelerate)、5G利用拡大による通信インフラ高度化需要拡大をインフラ事業者向けビジネスとして拡大(Expand)、これらをインフラ技術人材の最適配置など(Upgrade)により実現していく、といったイメージになります。

以上のような会社側の計画を前提に、直近の決算発表をチェックしていきます。

上期決算は順調

2021年11月1日に公表された上期決算は、売上2334億6300万円(前年同期比+8.6%)、営業利益195億8800万円(同+47.2%)と好調でした。収益面では、通信向け5G関連・インフラ、社会インフラ、製造・製薬向けインフラなどの案件が順調に推移し、サービス、開発・SI、製品のすべてカテゴリーで増加しています。利益面では、人件費などの販管費が増加したものの、粗利益率の上昇と不採算案件の減少により増益となりました。

受注動向でも、 上期受注高は2444億円( 前年同期比+13.1%)と売上以上に伸びており、上期受注残は3259億円(同+19.2%)まで積みあがっています。通信向けインフラ、製造・建設向けインフラ及びクラウドが好調であったほか、社会インフラでも前年の電力向け大型案件の反動減を官公庁向け等でカバーして好調を持続しているようです。

上期では半導体不足の影響ほとんどなし

半導体不足の影響はほとんど出ていないとのことで、同社がとった主な施策は以下 2 点です。

  • 長年に渡るベンダーとのパートナーシップにより、優先的に製品を確保
  • お客様に早めの発注を依頼

下期にも影響は出るとのことですが、引き続きベンダートップと、お客様とのコミュニケーションをしっかりとって行く方針であるとのことです。なあんだと思うような単純な施策ですが、効果的であり長年の信頼関係構築が必要な施策であり、一朝一夕ではできない同社の優位性の1つであると考えます。

2Qまでの利益進捗は43%と平均を大きく上回り、通期上方修正も期待される

通期計画に対する2Qまでの純利益の進捗率は43%、過去5年平均の31%を大きく上回っています。

ITサービス関連業界は、顧客の投資計画に依存する面が大きく、3月期末には期ズレによる修正などは普通に起こる業界です。なので、余裕のある会社ほど通期計画は余裕をもって立てており、期ズレなどがなければ上方修正となる場合が多いと思います。まして、コロナ禍や半導体不足の影響が残ると想定される下期を慎重に見れば、足元の好調さにもかかわらず上方修正を出さない判断は理解できます。よって、期末での上方修正の可能性は高いと考えています。

中期経営計画関連のトピックス

Accelerate

水素インフラのトータルなシミュレーションサービスを開始 2021年10月25日

再生可能エネルギーの主力電源化に向けたアグリゲーションビジネスの実証開始 2021年10月15日

Expand

キャッチネットワークとCTC、共同でローカル5Gネットワークのサービスを開始 2021年4月16日

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