不二家(2211)
ご存じ、ペコちゃんの不二家です。
不二家といえば、ペコちゃんがいる洋菓子店のイメージが強いですが、売上比率ではミルキーやカントリーマアム、ネクターなどの製菓事業が約7割を占めている企業です。
経営危機からの再生
不二家の洋菓子事業は、全国にある直営とFCの洋菓子店舗に製造した洋菓子を販売するといったビジネスですが、コンビニスイーツの拡大等もあり洋菓子事業は2002年以降赤字が続いていました。しかし、2007年の経営危機を契機に山崎製パン(2212)の傘下に入ったことで状況は大きく改善しています。
同社には、2007年1月に期限切れの牛乳を原料としたシュークリームを製造していたことが発覚すると続々と衛生管理面での問題が発覚して全ての洋菓子製造がストップ、経営危機に追い込まれたという負の過去があります。同年3月に山崎製パンとの資本業務提携などの支援を受けて生産を再開、翌2008年には 山崎製パンの子会社となりました。
評価不足 ~トレンド転換へ
山崎製パンの傘下で生産品質・効率の改善を進めたことは当然として、これまで自社店舗のライバルでしかなかったコンビニ・スーパー向けの流通ルートを確保できたことは大きかったと思います。この間の株価推移を見ると、2007年以降の経営危機を受けた株価下落、その後の回復までは評価されていますが、経営が好転した後のその後の展開についてはまるで評価されていないようです。当サイトでは今後のトレンド転換を期待し、リスト銘柄として注目していきます。
足元の業績は好調、増配も
足元では、7月29日に2021年12月期の連結業績予想を上方修正、売上高を1010億円 → 1035億円(前期比4.5%増)営業利益を28億円 → 42億円(同+68.2%増)、純利益を13億円 → 24億円(同2.3倍)としています。
その要因として、上期の洋菓子、製菓両事業の国内売上が好調だったこと、中国子会社で人気のポップキャンディの販売が好調だったこと、売上増により生産性が向上したことや、販売管理費の抑制も寄与するとしています。と同時に、15円→30円の増配も発表しました。
期待 ~中国子会社
中国子会社の杭州不二家は、2013年時点で売上60億円程度でしたが直近の開示はありません。
現地のポップキャンディ専用工場は100億円規模の生産能力があるとみられるほか、2020年7月に第2工場の建設に着手しており、中国で市場性の高いビスケットの生産ラインを増強する計画となっています。この第2工場は2023年7月の稼働を計画しており、生産能力は100億円規模で将来的にはチョコレートの生産ライン導入も視野に入れている模様です。不二家連結売上高の約10%に相当する計画であり、今後の業績に対するインパクトは大きいでしょう。
イベントに注目 ~叡王戦
不二家は、今期より将棋8大タイトルの1つである叡王戦のスポンサーとなっています。加藤9段(ひふみん)がチョコレート好きで対局中に何枚もの板チョコを食べることは知られていますが、脳を酷使する対局中は糖分補給にスイーツを食べる棋士は多く、不二家も藤井聡太王位・棋聖をCMに起用しています。
今期の叡王戦は、豊島竜王・叡王に藤井王位・棋聖が挑戦する好カードとなっており、5番勝負のうち現在は2勝2敗のタイ、9月13日に最終局が行われます。対局室には不二家のお菓子ボックス(上記画像:カントリーマアム、ルックなど製菓)が設置され、対局中のおやつに別室でスイーツ(洋菓子)が提供されることに加え、藤井王位・棋聖がタイトルを奪取すれば史上最年少3冠ホルダーとなることから、メディアでも大きな注目を集めることが予想されます。長期間評価されてこなかった銘柄が再評価されるには、何らかのきっかけで注目されることが必要です。藤井聡太の叡王奪取と最年少3冠の誕生は、不二家の評価にとっても1つのイベントになる可能性はあると思います。なお、叡王戦の模様は9月13日にサイバーエージェントのABEMA将棋チャンネルで生中継される予定です。