【PO】西日本旅客鉄道(9021) ~猫は生きているか?

2021年9月1日引け後に公募増資(PO)を発表

新株式発行及び株式の売出しに関するお知らせ (westjr.co.jp)

今回の公募及び第三者割当による新株式発行に係る発行済株式総数の異動は以下の通りです。

  • 現在の発行済株式総数(2021年9月1日現在)  191,334,500 株
  • 公募による新株式発行に係る増加株式数      48,545,400 株
  • 公募による新株式発行後の発行済株式総数     239,879,900 株
  • 第三者割当による新株式発行に係る増加株式数    4,121,700 株
  • 第三者割当による新株式発行後の発行済株式総数  244,001,600 株

よって、現在の株式総数/増資後の株式総数=78.4%となり、株主持分の希薄化は21.6%、9月1日終値6,011円に希薄化率を当てはめると4,713円となります。

9月3日終値が5,154円で仮に値決めとすると、5%ディスカウントと仮定しても4,896円と少し割高なので、9月13~15日の値決めまでにもう少し下落する可能性が高いと思います。全体相場の動きも考慮しないといけませんが、ざっくりいって5,000円まで下がると5%ディスカウントで4,750円なので織り込まれ感が出るのではないでしょうか。

猫は生きているか?

株式業界では、どんなダメな銘柄でも高い所かろ暴落すればリバウンドがあるという意味で、デッド・キャット・バウンス(dead cat bounce)という言葉が使われます。当然、死んでいるのでいったん上がっても結局損するよという意味合いの言葉です。では、この猫が死んだように見えて実は生きていたらどうなるかというと、当然のように着地して勢いよく壁の上に駆け上がっていくかもしれません。

JR西日本は、2021年3月期に▲40%減収、営業赤字▲2,455億円(前期は1,606憶円の黒字)、今期も1Q時点で見通しを下方修正するなどコロナ禍で大変な苦戦を強いられてはいますが、下記グラフの通り既に最悪期は脱しています。ワクチン接種率は上昇してきており、新政権による経済対策等も期待できることから、同社株は元気に生きている猫といえるでしょう。

~ 2022.3期1Q決算説明会資料より

同社は、コロナ禍の影響を受けて2020年11月に2023.3期までの中期計画を修正し、その後2021年7月に足元の状況を受けて運輸収入の回復想定を後ずれさせているものの、90%までの回復で収益が上がるように構造改革を進めています。

中期経営計画によると、

  • 安全性向上
  • 地域共生の深耕
  • 経営の強靭化
  • 変化への対応

を4つの打ち手として捉え、安全投資を第一に、運輸事業の投資を抑え、流通事業、不動産事業への投資を増加させるとしています。

1Q決算発表時に、通期の運輸収入予想を▲1,110~1,440億円低下させる一方、コスト削減計画を期首計画から連結で▲140億円上積み、▲1,240億円としました。同社の計画では、9月末以降に運輸収入の回復を見込み、年度末までに90%水準への回復を見込んでいます。

なので、「人類はウイルスに負けない、どこかのタイミングで克服できる」と仮定すれば(そうでなければ株式投資はできませんよね)、アフターコロナの局面ではコスト削減効果が発揮されていくと思われます。また、東京よりも住環境で優れる地方や地方中核都市が見直されているこの局面で、既に不動産投資増額と西日本の広域ネットワークづくりを進めている足元の経営方針にも違和感はありません。よって、POへの参加は公募価格次第では有望な投資対象であると考えます。

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